遺産分割の際の注意点
専門家を交えず自分たちで遺産分割協議書を作成したい、と思われることもあると思いますが、注意すべき点があります。 面識のない相続人がいるが、そのまま連絡もとらずに(気付かずに)遺産分割協議書を作成してしまった場合、どうなるのでしょうか。 判例によると、原則無効となります。...
虚偽表示、錯誤
虚偽表示は相手方と示し合わせてウソの意思表示をすることをいい、無効となります。それを知らない第三者には無効を主張できません。(民法94条) 錯誤は自覚のない間違い、いわゆる「勘違い」がそれにあたります。法律行為の要素つまり重要な点に勘違いがあると無効となります。ただし、勘違...
遺産分割協議の無効、取消し
遺産分割協議は契約の一種のため、心裡留保(民法93条)、虚偽表示(民法94条)、錯誤(民法95条)、詐欺又は脅迫(民法96条)のある場合は無効、取消しを求めることができます。 心裡留保は実際の心の中と違うことをあえて意思表示することで、基本的に有効です。...
遺産分割の効力
遺産分割は、相続開始の時にさかのぼって効力が発生します。(民法909条)被相続人が亡くなって何年後かに確定した場合でも、遺産分割により権利を取得した者は相続開始の時から権利を取得していたことになります。但し、第三者の権利を害することはできません。
相続発生後の財産
不動産の賃貸収入を得ている方が亡くなった場合、相続開始から遺産分割までの間の家賃については法定相続人の共有財産となりますので、相続人同士の特段の定めがない場合、法定相続分の割合で配分することになります。金額によっては所得税の申告をする必要があります。
相続分の譲渡
消極財産、積極財産ともに相続分の譲渡は可能ですが、遺産分割前又は遺産分割協議中に行う必要があります。例えば、遺産分割協議に参加したくない相続人は他の共同相続人に相続分を譲渡することにより、協議に参加せずに済むことになります。この場合、贈与税はかかりません。
取戻権
共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、譲渡してから一箇月以内であればその価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができます。(民法905条)
特別受益の持戻し免除
遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しい場合又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者はその相続分を受けることができない(民法903条2項)とされますが、被相続人が持戻しを免除する(贈与の分を相続分とみなさなくていいよ、と)意思表示したときは遺留分の規定に反しない限度で、受...
遺産分割の禁止
被相続人は遺言で、相続開始から5年を超えない期間であれば、遺産の分割を禁止することができます(民法908条)。自分が亡くなった際、住んでいた家をすぐに売却して欲しくない場合や遺産分割でトラブルになりそうな場合などに有効です。
換価分割
遺産分割の際、不動産や貴金属などをお金に換えて分割する方法です。比較的平等に配分できるので、争いとなる可能性は低い方法ではありますが、所得税がかかる場合もあります。一人の相続人に一旦相続登記を行い、売却後金銭を分配することもできますし、相続人全員で共有名義にしてから売却、分...