第二種財産分離
前回は被相続人の債権者(又は受遺者)の話でしたが、今回は相続人の債権者についての話です。限定承認ができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は同じように家庭裁判所に財産分離の請求をすることができます。(民法950条)遺産に消極財産が多い場合、相続...
第一種財産分離
相続債権者(被相続人の債権者)又は受遺者は相続開始の時から3か月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができます。(民法941条)被相続人にお金を貸している人又は遺贈を受ける人が相続人の債権者に債権回収される前に弁済を受けるようにするた...
消極財産、積極財産
借金等の債務、つまりマイナスの財産のことを消極財産といい、不動産、預金等プラスの財産を積極財産といいます。相続人は相続開始の時から両方の財産を承継することになります。(民法896条)
特別受益者の相続分
共同相続人の中に、被相続人から遺贈又は生前特別な贈与を受けた者があるときは、相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、その贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする(民法903条)、とされています。
知的財産権
著作権、特許権、商標権などの知的財産については、一身専属の性格を有するものを除き、相続の対象となり得ます。例えば、著作権については譲渡可能であり(著作権法61条①)相続人不存在の場合は消滅する(同62条)と定められております。特許法によると相続による特許権移転は特許庁長官に...
一身専属権
一身専属権は相続の対象となりません。例えば、講演を依頼されていた方が亡くなった場合、相続人が講演を行う義務はありません。同様に芸術品制作を依頼されていた芸術家が亡くなっても、相続人だからといって依頼を引き継ぐことはありません。その人本人でないと意味がないためです。
少額でも遺言を
相続争いになるほどの遺産はないからといって安心はできません。遺産分割事件(家庭裁判所で認容・調停成立)のうち、1000万円以下のケースが約30%(総数8951件に対し1000万円以下2894件、平成25年司法統計より)存在します。
遺言を書く際(相続財産)
不動産(地番、平米、家屋番号)、預貯金(金融機関名、口座番号、名義人)、当面売却する予定のない株券(会社名、株数)、動産(宝石や絵画、建物内動産類一切)、遺言を書いた後に取得する財産も考慮し、その他の財産一切という項目も入れて作成すると良いでしょう。遺留分を侵害しないようで...
遺言を書かない理由その3
遺言を書かない理由として、その時によって所有する財産が変わるから、事情が後になって変わるかもしれないから、といったことも考えられます。もちろん、土地を○○に相続させると遺言で書いているからといって売却などが出来ないわけではありません。事情が変わる度に書き直す手間を考えるとな...
遺言を書かない理由その2
遺言に必要性を感じていない人も多いようです。財産が少ないから、法定相続分で平等に分けたらいい、など。法定相続分できちんと分けられる財産は現金のみです。不動産だけでなく貴金属や絵画なども誰に分けるかで、もめる可能性があります。紛争を未然に防ぐためにもそれぞれ誰に渡したいと明記...